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クリスチャンの彼はやさしい。熱が出ても、人間関係がうまくいかないときも、彼はわたしのために祈ってくれる。「まみのことを祈らない日なんてない。毎日必ず祈ってから寝てるんや」。でも、そのやさしさが苦しい。存在を肯定してくれているようで、存在を揺るがす愛。愛されたい、必要とされたいという思いは、自らを蔑ろにすることでもある。信仰は「どう生きるか」への答えを与えてくれるが、目の前のひととどう生きるかという問いに必ずしも答えてくれない。その答えは自分でつくっていくしかない。――学生時代に付き合った彼が敬虔なクリスチャンだった、というタイトルどおりのこの話を、個別的かつ特殊な体験として読みはじめたとしても、身に覚えがあるときづいて、いつしか自分の物語として読んでしまっているはずだ。