食べてもアッチャー、食べなくてもアッチャー
「ぼくはカレーリーフを育てているのと同時に、カレーリーフに育てられたのだ」とうそぶく著者。かれこれ16年ものあいだカレーリーフを栽培・収穫し、料理に使用してきた。インドではいくらでも手に入る(釣り銭代わりにもらうことも)生のカレーリーフも、当時の日本ではなかなか縁が無かったという。なんとか奄美大島の農家を探し出し、苗を分けてもらって育て始めるが、みるみる葉が落ち、無惨にも枝だけになってしまう。だが、ある春の日におどろくべきことが起きる…。
スパイスにまつわる思い出は限りがない装丁家・矢萩多聞による『お調子者のスパイス生活』シリーズ、4号目にとりあげるスパイスはカレーリーフ。南インド料理が至るところで食べられるようになったいまでも、カレーリーフをどう扱ってよいかわからないひとは多い(私もそのひとりだった)。食べていいのか、だめなのか。著者のネパール人の友人に言わせればどちらでも「アッチャー(よい)」だそうだ。本書を読んで、カレーリーフの存在がやっと身近なものになった気がする。
毎度おなじみ「日本のたべものに合うスパイスを見つける実験コーナー」は「トーストに合うスパイス」。巻末には付録のカレーリーフを使ったレシピもついています。
矢萩 多聞 Tamon Yahagi
画家・装丁家。1980年横浜生まれ。9歳から毎年インド・ネパールを旅する。中学1年で学校を辞め、ペン画を描きはじめ、南インドと日本を半年ごとに往復、横浜や東京で展覧会を開催。2002年から、本のデザインにかかわるようになり、これまでに600冊を超える本を手がける。2012年、京都に移住。現在は出版レーベルAmbooksや、WEBラジオ「本とこラジオ」など、本とその周辺をゆかいにするべく活動中。 著書に『美しいってなんだろう?』(世界思想社)、『本とはたらく』(河出書房新社)、『本の縁側』(春風社)、『たもんのインドだもん』(ミシマ社)、 共著に『タラブックス』(玄光社)、『本を贈る』(三輪舎)などがある。https://tamon.in
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